2019/09/13 村上 潔
◇Focus E15 Campaign, 2019, “Newham Residents’ Complaint to Mayor at Full Council Meeting”, Focus E15 Campaign, July 16, 2019, (https://focuse15.org/2019/07/16/newham-residents-complaint-to-mayor-at-full-council-meeting/).
◆ニューアム区議会への代表団
〈ブリムストン・ハウス[Brimstone House]〉の住人たちは、ロクサーナ・フィアズ[Rokhsana Fiaz]区長〔(2018年選出/労働党)〕ならびに〔2019年〕7月15日月曜日にストラトフォードの区庁舎で開催された労働党で埋まる区議会に対して、パワフルな女性たちが率いる代表団を組織した。彼女たちは、〈フォーカス E15[Focus E15]〉キャンペーン〔→★〕が〈公益法律相談所[Public Interest Law Centre]〉〔→★〕とともにまとめた訴状の提出について演説した。その訴状は、ヴィクトリア・ストリートにある区が所有する建物、〈ブリムストン・ハウス〉における、一時的かつ緊急の宿泊施設の劣悪な状況に関するものだ。
【写真キャプション】〈ブリムストン・ハウス〉の住人代表団は、ニューアム区との一年にわたる会合が、大半の住人にとってはほとんど変化が見られないものだったことを受けて組織された。
〈フォーカス E15〉キャンペーンのメンバーの一人、ハナは、代表団の間で起きていることを述べた。「母たち・妊婦たち・ティーンエイジャーたちの力強い説得力のある言葉は、どんなに冷淡な者たちをも戦慄させる。これは人間に対する扱いではない。大人たち・子どもたちの生活は、一時的宿泊施設で暮らすストレスによって、身体的・精神的に破壊されている」。〈ブリムストン・ハウス〉の住人の一人、マーシャはこう説明した。「私たちは悩みの種を抱えて暮らしている。いつ新しい住居をあてがわれることになるのか。どこに住むことになるのか。知っての通り、私たちの多くは、自らのコミュニティと家族から引き離されるのを拒んだがゆえに、脅され、「意図的なホームレス」とラベリングされてきた」。もう一人の住人、エグウォロは言う。「〈カーペンターズ団地[Carpenters estate]〉の空き家になっている住居は、あなたたち〔議員〕が区長の陰で〔彼女のために〕残すであろう遺産の証しだ。あなたたちによいイメージをもたらさないその存在には、何〔の対処〕もなされることはない。いや、それどころか取り壊されてしまう」。
【写真キャプション】〈ロンドン黒人女性プロジェクト〉の支援者たち、〈ブリムストン・ハウス〉の住人たち、〈フォーカス E15〉キャンペーンのメンバーたちは、会議室から出て、共に「言葉ではなく行動を!」と叫んだ。
当該ロンドン自治区〔=ニューアム区〕内の女性支援事業への致命的な予算削減に抗議している〈ロンドン黒人女性プロジェクト[London Black Women’s Project]〉〔→★〕の支援者である50人以上の女性たちもまた、区議会に参列した。彼女らはみな互いに助け合いながら、団結して立ち上がった。支援事業に対する自治体の予算削減の問題と、居住の問題は、つながっているからだ。区の対応の欠如に対する不満の表明は、会議室から外に出て、建物中に鳴り響く声で「言葉ではなく行動を!」と叫ぶことによって締め括られた。その後は、外の路上で活気あふれるデモが繰り広げられた。バナー、プラカード、そしてさらなるシュプレヒコールで、一時的に交通は遮断された。
◆訴状は送達される
〈ブリムストン・ハウス〉の住人たちからの訴状〔“The compliant”は“The complaint”の誤記と思われる〕は、ニューアム区議会のすべてのメンバーに対して送られた。それは、不適切な住宅環境を改善し、人々――多くは幼児を伴う――が住むのに適さない宿泊施設で苦しい生活を送る一見無限に見える時間を止めるために、直ちに行動するよう要求している。〈ブリムストン・ハウス〉に住む人たちは、3~6か月の間滞在すると言われているが、実際の平均滞在期間は1年半だ。
訴状は、19人の住民による詳細な証人供述、建物の適合性に関する建築的見地からの報告、区内での革新的な住宅政策をめぐる住民たちと〈フォーカス E15〉キャンペーンによる勧告、で構成されている。この訴状はまた、ニューアム区に対する、住宅についての重要な事実に関する情報公開請求の最近の結果を公表している。それは例えば、寝室が4つある物件に入居するまでの平均待機期間が9年11か月であること、2018年4月の情報公開請求に先立つ2年間で建設された公営住宅がわずか164にすぎないこと、などだ。
【写真キャプション】
左に見えるアンドリュー・クーパー作成のバナーは、〈ブリムストン・ハウス〉の住人たちの言葉を列挙している。それは、家族が長期的に居住の困難を抱えている場合、役所の社会福祉課が家族から子どもを引き離しにくることへの恐怖におびえる感覚などについてのものだ。
また訴状は、一時的宿泊施設で暮らす告訴人たち(原告)の大半がBAME(黒人・アジア人・少数民族)の家庭に育ち、すべての人への平等を要求している事実を指摘している。訴状はニューアム区に対し、〈カーペンターズ団地〉内の板で塞いだ400以上の住宅を利用できるようにすることと、いまだ展開中の住宅危機に光を当てるため、抗議費用を区の予算に計上することを検討するよう要求している。住人たちは、今後数週間のうちに、区長とこれらの懸案について討議する会合をもつ予定だ。
◆訴状のなかの住民たちの意見から引用
「〈ブリムストン・ホステル〉での暮らしは、刑務所のようだ。あまりにも長い間、休日でさえも、そこから出ることができないのだから。〈ブリムストン・ハウス〉への出入りは自治体の職員が監視しているので、私には自由はないと感じる。」
「私たち全員にとって、十分なスペースはない。生後3週間の娘のベビーベッドを置くのにも足りない。それどころか、私が毎晩旅行用の簡易ベッドを組み立てる始末だ……。私の保健師は、この環境は不適切だと言っている。」
「フラットには、息子の車いすを動かすための十分な部屋がない。」
「〈ブリムストン・ハウス〉内の衛生状態は劣悪だ……。私はそこで暮らす娘の健康を、とても心配している。フラットは荒れ放題で、ぼろぼろで、ネズミがはびこっている。」
より詳細な情報、インタビュー、もしくは訴状文書へのアクセスは、focuse15london@gmail.com までご連絡を。
私たちの路上街宣に参加して。ブロードウェイの〈Wilko〉〔ストラトフォード駅前のショッピングセンター〕の外で、土曜日の12時~14時。
力を合わせれば私たちはより強くなる!
【訳者より:書式に関して】太字・改段落は原文を反映している。写真は転載していない。〔 〕内は訳者による補足である。
■参考
◇Focus E15 Campaign, 20180918, “Newham Resident Bullied and Threatened with ‘Intentional Homelessness'”.=20180920 村上潔訳「いじめを受け、「意図的なホームレス」とされる危機にあるニューアム区居住者」反ジェントリフィケーション情報センター
◇Focus E15, n.d., “About Us”.=20161219 村上潔訳「Focus E15:About Us」,arsvi.com
◇Focus E15, n.d., “E15 Open House Occupation”.=20161220 村上潔訳「Focus E15:E15 公開住宅占拠」,arsvi.com