Art&Critique(村上潔訳)「公開フォーラム:アートとジェントリフィケーション(2018年5月)――議論の概略」

2018/10/01 村上 潔

【原著(Original text)】
Art&Critique, 2018, “Open Forum, Deptford Art & Gentrification Walk. Old Tidemill Wildlife Garden, May 2018”, SoundCloud, September 20, 2018, (https://soundcloud.com/videomole/deptford-art-gentrification-walk-tidemill-garden-may-2018mp3).
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アートとジェントリフィケーションに関する公開フォーラム
‐ 〔開催場所〕〈オールド・タイドミル・ワイルドライフ・ガーデン[Old Tidemill Wildlife Garden]〉
‐ 《デトフォード・アート・アンド・ジェントリフィケーション・ウォーク[Deptford Art & Gentrification Walk]》(2018年5月)〔の一環として開催〕
‐ 録音:ポール・クレイトン[Paul Clayton]
議論の概要は以下を参照されたい。

2018年5月、私たちは、アートとジェントリフィケーションについて一日議論するために、デトフォードを訪れた。その日私たちは、道路・水路・緑地・新興開発地に沿って、ギャラリー、スタジオ、コミュニティ・スペース、歴史的建造物をめぐるツアーに出かけた。その目的は、アーティスト・キュレーター・アクティヴィストたちと出会い、彼ら/彼女らがコミュニティの立ち退きと公共の創造的な空間の縮小にいかに抵抗し、もしくは打ち勝とうとしているのかを探ることだった。

私たちは、アーティスト・アクティヴィスト・地域住民たちと、〈オールド・タイドミル・ガーデン〉で公開フォーラムを開催した。ガーデンの歴史、差し迫ったその解体、そしてガーデンを守るためのキャンペーンについて話すフォーラムだ。私たちは、ジェントリフィケーションの過程においてアーティストが有する責任の尺度と、手頃に使える空間を追い求めるうえでデベロッパーと連携すること以外にどんな代替手段があるのか、について議論した。このイベントの詳細は、https://artandcritique.uk/art-crawl/#14 を参照されたい。

議論の概要:

〈オールド・タイドミル・ガーデン〉は、デトフォードの穴場の、野生生物のオアシスだ。WHOが推奨する基準より6倍高い大気汚染レベルにあるデトフォードの中心に位置し、70本を超える成熟した木々を有する。ルイシャム区は、ガーデンを土地管理人に引き渡すことによって、この公共の資源をコミュニティが使えないようにした。しかしいま、隠されていた空間は現れ出る! 〈セーブ・レジナルド・セーブ・タイドミル[Save Reginald Save Tidemill]〉キャンペーンは、ガーデンを解体から守るための努力の一環として、ガーデンの存在に対する認識を高め、コミュニティのメンバーによるガーデンの利用を促進しようと試みている。

アーティストたちは、「ジェントリフィケーションの切り込み隊」なのか? それとも、その過程における犠牲者か? 使い捨て要員か? 彼ら/彼女らはいかにとがめられるべきか? アーティストたちは、ジェントリフィケーションと立ち退きのための「目的達成手段」もしくは「隠れみの」として使われるが、結局のところそのプロセスを進めているのは資本であって文化ではない。

アーティストたちは、安価で利用しやすいスタジオや展示スペースを探し求める。多くのアーティストたちが、安いが、その一方で地方自治体とデベロッパーによって提供されたものであるスペースを使用してきた。彼ら/彼女らの存在は、〔自治体・デベロッパーにとっての〕使い道がなくなり、賃料が払えなくなってスペースを追い出されることになるまでは、〔自治体・デベロッパーの〕目的に役立つ。

「かつて、ブリクストン・ペッカムからナンヘッド・ニュークロス・ロザーハイズまでを極度の貧困、真の欠乏状態が覆い、住むのには危険な、本当に危険な状況であった1980年代の時には、話が別だった」〔という発言があった〕。〔当時の、流入の〕第一波は「辺境(フロンティア)に住む男女」だった。何の変化も起こすことなく、スクウォットすることで地域に組み入れられた第一波のアーティストたちは、あとから入ってくるアーティスト・ミュージシャンたちが生活する場所を見つけられるようにした。

いま、コンピューターを使ったクリエイティブビジネスは、スタジオ・作業場・メーカースペースを、もとの場所〔=インナーシティ〕へと戻してきている。これらの新しいスタジオは、アーティストたちのために確保されているかのようだ。〔デトフォード・チャーチ・ストリートを隔ててガーデンと隣接する〕クリークサイド1番地で計画中の開発は、デトフォードの未来の恐ろしい展望である。

デベロッパーは明確な戦略をもっている。そしてアーティストはデベロッパーに利用されている。アーティストにはいくらかの責任がある。自らが取り結ぶ連携関係の政治経済の問題に気付くべきだ。

アーティストたちは居住空間を占拠することができる。そしてそこをスタジオや展示スペースとして使うことができる。法律をかいくぐること、つまり、居住用財産に住むことはできないが展覧会や抗議行動を主催できるという法の隙間を突くことだ。私たちはみなで団結し、集団で〔ガーデンを守るという〕問題に取り組むことができる。

〔参照リンク *リンク先の情報は訳者が補足した〕
Save Reginald Save Tidemill (Facebook)
Reginald Road/Old Tidemill Wildlife Garden Information Sheet (PDF)
・Milburn, Ella, 2017, “Lewisham Residents Fighting to Save Homes from Demolition Accuse Council of ‘Social Cleansing'”, Eastlondonlines, December 8, 2017, (http://www.eastlondonlines.co.uk/2017/12/lewisham-residents-fighting-save-homes-demolition-accuse-council-social-cleansing/).

■参考(訳者作成)
[ART&CRITIQUE] | Critical and contextual studies in contemporary art practice
ART CRAWL | [ART&CRITIQUE]
‐ Deptford Art & Gentrification Walk (Saturday, 26 May 2018, 12:00-19:00)
‐ Deptford Art & Gentrification Walk Pt. 2 (Saturday, 29 September 2018, 13:00-18:00)
◇村上潔 20180903 「デトフォードの占拠運動者たちは訴える、「ジェントリフィケーションは組織犯罪だ」」,反ジェントリフィケーション情報センター
◇中村葉子 [2014] 20170916 「なぜアートはカラフルでなければいけないのか――西成特区構想とアートプロジェクト批判」,反ジェントリフィケーション情報センター