2019/05/19 反ジェントリフィケーション情報センター
私たち〈反ジェントリフィケーション情報センター〉は、イギリスやイタリアなど、世界のさまざまな都市の反ジェントリフィケーション運動の情報を集めてきました。そのなかでも、現在の釜ヶ崎の占拠闘争は、まちがいなく画期的な出来事です。もともと「あいりん総合センター」は、資本主義と国家の都合によってつくられました。その空間は、釜ヶ崎の歴史のなかではじめて、労働者のものになりました。そしていま、みずからの手で「社会センター」をつくろうとする試みがはじまっています。
しかし一か月もたたないうちに、自治体と政府は、なりふりかまわぬ暴力をもって潰しにかかりました。憲法や「ホームレス自立支援法」、国連社会権規約などをいっさい無視し、強制撤去を執行したのです。この前代未聞の暴力に対し、私たち反ジェントリフィケーション情報センターは、憤りをもって抗議します。少なくとも2年間は社会医療センターが運営をつづけるにもかかわらず、自治体と政府は、センターの広々とした敷地を封鎖し、出入り禁止にしようとしています。梅雨の時期には雨宿りをし、冬の時期には寒風から身を守ることのできる、大切な空間です。労働者からその空間を奪い取る行為は、非人道的というほかありません。また公道に新たに増設された監視カメラは、この街に生きてきた労働者を侮辱するものです。一刻も早くセンターを開放し、監視カメラを撤去することを求めます。
私たちは、この強制撤去が繰り返される事態を、なんとしても食い止めなければなりません。この暴挙を許してしまったら、警察暴力はどこまでも暴走するでしょうし、2025年万博に向け「社会浄化」の警察キャンペーンが広がっていくでしょう。この意味で、今回の強制撤去は釜ヶ崎だけの問題ではなく、都市が向かう先を左右する重大な問題です。またセンターの開放は、民衆が自律的な空間を生み出していくうえで、大きな可能性をもっています。じっさい世界各地の都市では、空き家を占拠して難民の居住を支援する運動が、いまもしぶとく展開されています。釜ヶ崎の占拠闘争は、世界の民衆闘争とともにあります。私たちは、たとえ日本国内では少数なのだとしても、まちがいなく世界的な連帯の地平に立っています。ともに、声をあげましょう。