トリノ市による〈ASILO OCCUPATO〉の強制排除と市民活動家の逮捕に抗議する

2019/02/17 反ジェントリフィケーション情報センター

 2019年2月7日、イタリア・トリノ市中心部アウローラ地区にあるスクウォット・コミュニティ〈ASILO OCCUPATO(アジロ・オックパート)〉が、警察によって強制排除され、大量の活動家が逮捕された。

1995年から同地区にある保育園廃墟を占拠している〈ASILO OCCUPATO〉への強制排除の噂は以前から聞かれていた。近年アウローラ地区の安い地価に目をつけてか、ピエモンテの有名コーヒー会社〈LAVAZZA(ラヴァッツァ)〉が〈ASILO OCCUPATO〉の目と鼻の先に巨大な本社ビルを建てた【地図】。〈LAVAZZA〉が〈ASILO OCCUPATO〉の土地の利用を狙っているとの噂は絶えず、さらに同地区にある富裕層向け私立学校〈SCUOLA HOLDEN(スクオーラ・オールデン)〉の経営者も、トリノ市に〈ASILO OCCUPATO〉の土地を利用させてほしいと要望書を送っている。
アウローラ地区は、移民が多く住むインナーシティと呼ばれるような地域で、ここで毎週土曜に開かれる《BALON(バルーン)》という骨董市/青空マーケット【参考】は、移民の人たちの重要な収入源にもなっている。トリノ市がこのマーケットをトリノの数少ない観光資源にしようとしているのは明らかで、昨年末からその青空マーケットの、移民の人々が商売をする部分だけを狙った強制排除が進行中だ。
〈ASILO OCCUPATO〉は《BALON》の「浄化」に対する直接行動・抗議運動など一貫してジェントリフィケーションに反対する行動に取り組んできた。また何らかの理由で家賃を払えずに立ち退きを迫られている人や、家を借りられない人へのサポートなど、国家の福祉からこぼれ落ちた人々、行き場のない人たちへの支援をしてきた。
さらに強制排除とともに〈ASILO OCCUPATO〉の複数の活動家が逮捕されたが、逮捕容疑にはCPR(イタリアの移民収容施設)への抗議活動が含まれている。この移民収容施設の劣悪な環境は有名で、水は一日1リットルしか与えられず、狭く不衛生な場所に大量の人々が押し込まれている。〈ASILO OCCUPATO〉の活動家は、滞在許可証などを持っていないというだけの理由で人々を施設へ強制的に収容し、その自由を奪うことに抗議していた。
今回の〈ASILO OCCUPATO〉への強制排除は、企業と行政によるジェントリフィケーションと、移民収容施設への「不法移民」収監に反対する活動家への弾圧を同時に狙ったものだ。この強制排除のためだけに、イタリア各地から警察が大量に動員され、〈ASILO OCCUPATO〉周辺は完全に封鎖され、強制排除から一週間経った今もトリノ市は戒厳令下のような状態になっている。警察によるデモや抗議活動への暴力的弾圧が毎日のように繰り返され、多数の市民が逮捕され、さらに無関係の市民へのIDチェックや、公道の通行制限が頻発している。

我々反ジェントリフィケーション情報センターは、〈ASILO OCCUPATO〉と、市民の自由のためにたたかうトリノの人々への連帯を表明し、今回の〈ASILO OCCUPATO〉に対する強制排除に強く抗議する。
 観光や「安全な街」というイメージ戦略、企業の利益のために、警察の暴力を使って市民の自由を奪い、弱者の追い出しを行うジェントリフィケーションはもうたくさんだ。
トリノ市は市民に対する暴力を今すぐやめろ。
警察は収監した活動家をいますぐ全員解放しろ。

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■付記
◆〈ASILO OCCUPATO〉に関する最新情報は下記サイトを参照
https://www.autistici.org/macerie/