2018/09/01 村上 潔
9月12日、新宿の〈カフェ・ラバンデリア〉で開催される、《[『支援』トークセッション:2018秋]オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から》という企画に、佐藤由美子さん(〈トランジスタ・プレス〉代表)とともに出演することになりました。企画の詳細は、チラシ(画像データ●→Link/PDFデータ●→Link)をご参照ください。ここでは、私=村上が出演にあたっていま考えていることを、簡単に提示してみたいと思います。
この企画の告知が開始された8月28日、私は自分からの情報発信のためのWebページを作成・公開しました。
◆トークセッション「オリンピックとジェントリフィケーション――ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」(佐藤由美子×村上潔)
http://www.arsvi.com/2010/20180912mk.htm
そこに掲載した「トークにあたって」という短い文章を、以下に転載します。
まず初めにお断りしておきます。私は地理学者ではありません。ジェントリフィケーションを専門とする研究者でもありません。ジェントリフィケーションを理論的に掘り下げて探究したことも、ジェントリフィケーションの事例調査をしたこともありません。私は、女性思想史・女性運動史と、それにまつわる都市文化史の研究者です。しかし、その私にとって、ジェントリフィケーションはとても重要な意味をもつ、取り組むべき課題です。けっして無視できないものです。このトークでは、そのことについて、具体例を挙げつつお話したいと思います。それは、地理学/社会学研究として、もしくは社会運動として、いま現在ジェントリフィケーションに向き合っている人たちに対して、(直接/すぐに役立つものではないかもしれませんが)何らかの示唆を提供するものになりうると考えています。会場で、様々な接続面と断絶面が浮き上がってくることを期待しています。
最初、(当日司会を務めてくださる)堅田香緒里さんからこの「オリンピックとジェントリフィケーション」と題した企画への出演オファーを頂いたとき、まず頭をよぎったのは、「こんな大きな・重要なテーマについて話すのが私でよいのか」という思い(と不安)でした。もっと「適任」なかたの顔が何人も思い浮かびました。ただ、おそらく堅田さんもそれを承知で私にオファーを出されたのだろうとも考えました。そしてなにより、共演者が佐藤由美子さんということに、少なからぬ必然性を感じました(私はこれまで、佐藤さんがいる〈カフェ・ラバンデリア〉●→Linkには何度も行っていますし、前身の(飯田橋にあった)〈ポエトリー・イン・ザ・キッチン〉にも一度だけいったことがありますし、佐藤さんが出演された京都でのイベント《『新約 ビート・ジェネレーション』刊行記念イベント》●→Linkにも参加しましたし、そして〈トランジスタ・プレス〉の刊行物も数冊所持しています)。そこで、この何がしか縁を感じる、なかなかありえない、何が起こるかわからない、奇妙で魅惑的な機会を逃す手はないと判断し、出演を引き受けることにしたのです。
ただ、せっかく私と佐藤さんという組み合わせで話すのだから、他の人でも――というかむしろ、他の人のほうがより効率よく――話せるような全般的な(教科書的な)話に終始してしまってはあまり意味がないし、何よりせっかくの機会が「もったいない」だろう、とすぐに感じました。そこで、「ジェンダー・文化・アクティヴィズムの観点から」という副題を入れることを、私から堅田さんに提案しました。幸いにもこの提案はすんなり受け入れられたので、少なくとも私からは、こうしたテーマ(問題意識)をメインに据えて、個人報告と、佐藤さんへの問いかけ(・応答)を構成していく予定です。
女性・ノンバイナリーの――とりわけ移民/シングルマザー/DVサバイバー/セックスワーカー/ホームレスといった立場の――人々の生と性、そして労働。それは(オリンピックのようなメガイベントと連動した)ジェントリフィケーションという、資本と/の政治による都市の動態によってどのように影響され、どのような反応を示しているのか。その現象全体をいかにしてフェミニスト・パースペクティヴから位置づけ・意義づけ・展望していくことができるのか。私はこうした課題を設定しています。そのアプローチとして、身体性/メンタリティ/再生産/自然/踊り・音楽・(広義の)詩/占拠/抵抗、といった要素を活用してみたいと考えています。佐藤さんや参加者の方々とどう共振できるのか/ズレるのか/対立するのか、いまはまだわかりません。当日が楽しみです。きっと、シビアだけれど創造的な場になると思います。
なお、私が作成している上記Webページには、現時点で以下の項目を掲載しているので、参加されるかたは企画前にご参照いただくと(また、企画に参加できないかたにも)参考になるかと思います。企画終了後もレポートや補足情報を掲載するかたちで随時更新していきますので、適宜ご参照ください。
◇告知(Announcements)
◇関連文献(Related Documents):村上潔
◇トーク内容(Contents of Lecture):村上潔
*現時点では「参考文献(References)」のみ掲載
◇関連情報(Related Information)
【追記(2018/09/27)】
■参考
◇村上潔 20180927 「トークセッション「オリンピックとジェントリフィケーション」を終えて」,反ジェントリフィケーション情報センター